ヒアルロン酸注入の失敗は、打つ部位や製剤の硬さ(架橋度)、注入する深さのミスによって引き起こされます。特に芸能人の顔面において違和感が顕著に現れやすい3大部位のメカニズムを整理します。
1. 涙袋:ナメクジ状の肥大と「チンダル現象」
目を大きく見せ、若々しい印象を与える涙袋ですが、最も失敗が目立ちやすい部位です。眼輪筋の表層という極めて薄い皮膚の下に過剰な量を注入すると、重力に耐えきれずに下へ広がり、いわゆる「ナメクジが張り付いたような不自然なふくらみ」を形成します。さらに、注入層が浅すぎると、外からの光がヒアルロン酸の粒子に当たって乱反射し、皮膚を通して青白く透けて見える「チンダル現象」が発生します。青クマのように見えてしまい、かえって疲れた印象を与える結果となります。
2. ほうれい線:口元の突出と「ゴリラ化」
加齢とともに深くなるほうれい線に対し、溝の真下に過剰なヒアルロン酸を流し込むアプローチは典型的な失敗パターンです。皮膚がたるんで上から被さっている根本原因を無視して溝だけを埋めようとすると、小鼻の横から口角にかけて土手のように盛り上がり、笑った際に不自然な段差が生じます。横から見たときに口元全体が前方へ突き出して見える、いわゆる「類人猿のような口元」になり、上品さが損なわれる原因となります。
3. 額・こめかみ・頬:しこり化(肉芽腫)と表情の凍結
額や頬を丸く見せようとして高密度の製剤を広範囲に注入すると、光を異常にテカテカと反射するビニール肌のような質感になります。さらに深刻なのが「しこり(結節)」の形成です。同一部位への短期間での反復注入や、粗悪な製剤の使用、感染などが原因となり、異物を取り囲むように体内で線維組織が増殖(被膜拘縮・異物肉芽腫)し、触ると硬い塊が残って皮膚が凹凸に変形するケースがあります。