現場で最も頻発する認識のズレが、「忌引き休暇は法律で定められた労働者の権利であり、当然に有給である」という思い込みです。
日本の労働基準法上、慶弔休暇や忌引き休暇に関する義務規定は存在しません。法律上必ず付与しなければならない法定休暇は「年次有給休暇」や「産前産後休暇」などに限られており、慶弔休暇は企業が任意で設ける「法定外休暇(特別休暇)」に分類されます。したがって、制度の有無、対象となる親等の範囲、そして「有給とするか無給とするか」の決定権はすべて企業側にあります。
厚生労働省の就労条件総合調査等の動向を見ても、一般企業の約8割から9割が特別休暇制度として慶弔休暇を導入していますが、基本給が保障される「有給扱い」とする企業がある一方で、単に「欠勤控除の対象外として休めるが、その日の給与は発生しない(無給扱い)」とする企業も確実に存在します。給与が無給扱いとなる企業に所属している場合、忌引き休暇ではなく通常の「年次有給休暇」を申請して消化したほうが手取り収入を守れるケースもあります。
また、企業から支給される弔慰金の相場とマナーについても把握が必要です。慶弔見舞金規定に基づき、実父母の逝去で3万〜5万円、祖父母や兄弟姉妹で1万〜3万円程度が支給されるケースが多く見られます。香典を会社として辞退する規定になっているかどうかも含め、就業規則の慶弔規定一式を出社後に速やかに確認することが重要です。