総務省統計局が公表する「家計調査」の実績値をもとに、2026年の物価上昇率を加味した生活実態から、50歳退職に必要なリアルな支出額をシミュレーションしてみよう。独身世帯と夫婦二人世帯では、直面する固定費の構造とリスク許容量が根本から異なる。
まず、早期退職 独身 貯金いくらあれば足りるのかという問いに対しては、都市部で賃貸住まいを続ける場合、月平均の支出額は約20万〜22万円が標準値となる。地方で持ち家がある場合でも、固定資産税や修繕積立費を含めると月15万〜17万円は下らない。65歳までの15年間に必要な生活資金だけで約3000万〜4000万円、さらに65歳以降の平均余命(男性約34年、女性約40年)を見据えた老後予備費として最低2000万円が上乗せされるため、総額で5500万〜6000万円の手元資金が安全圏となる。
一方、早期退職 夫婦二人 生活費シミュレーションを行うと、さらにシビアな現実が浮き彫りになる。夫婦二人の標準的な基本生活費は月額約28万〜32万円。年間支出は約360万円に達し、65歳までの15年間で5400万円もの資金が純粋に消費される。ここに子どもの大学教育費の残りや住宅ローンの残債、親の介護費用が重なれば、手元資金は瞬く間に蒸発する。
このように数値を整理すると、世間が憧れる「50代早期退職の必要資金」の実像が見えてくる。退職金を含めた手持ち資金が3000万〜4000万円のレンジにある場合、労働を完全に手放す選択は破綻を招くリスクが極めて高い。