ブヨの体長はわずか2〜5ミリ程度。見た目は黒く小さなハエのようだが、その吸血スタイルは蚊とは根本的に異なる。蚊が注射針のような口器で皮膚をスムーズに穿刺するのに対し、ブヨは皮膚をハサミのような鋸歯状の口で噛み切り、染み出してきた血液をすする。この「食いちぎる」行為自体が、皮膚組織に直接的な傷をつくる。
さらに厄介なのが、吸血時に注入される唾液腺毒素だ。ブヨの唾液には血液の凝固を防ぐ物質や局所麻酔成分、強いアレルギー反応を引き起こすタンパク質が含まれている。噛まれた瞬間は麻酔効果でほとんど痛みを感じないが、数時間から翌日にかけて毒素に対する免疫応答が暴走する。結果として、刺された部位を中心に熱感を伴う激しい腫脹(腫れ)が生じるのだ。