もともと福岡県福岡市を中心に愛されてきた博多郷土料理。戦後の屋台文化から産声を上げたこの鍋料理は、時代の変化とともに幾度もの進化を遂げてきた。かつては労働者の活力源として重宝された庶民の味が、なぜこれほどまでに国境を越えて愛されるようになったのか。
最大の要因は、現代の外食産業が押し進めた「品質改革」と「スープの多様化」にある。従来の醤油ベースや味噌ベースに加え、昆布と鰹節をふんだんに使った清澄な和風出汁、さらにはスパイスを効かせたアジアンアレンジまで登場した。伝統を守りつつも柔軟に形を変えるしなやかさこそが、グローバルな美食家の心を掴んで離さない理由だ。