尿意以上に切迫感と破壊力を持つのが、突如として押し寄せる激しい便意と下痢痛です。腸管が激しく蠕動(ぜんどう)運動を起こしている最中に間違った姿勢をとると、弁の役割を果たしている直腸肛門角が開き、破滅的な結末を招きかねません。
痛みに耐えかねて身体を丸める前かがみの姿勢をとる人が大半ですが、これは医学的に極めて危険な誤謬です。前かがみになると腹圧が直腸に直接加わり、便を体外へ排出しようとする構造が完成してしまいます。正解となる便意を我慢する姿勢は、背筋をピンと伸ばし、上体をわずかに「後ろへ反らせる(後傾)」ことです。
直腸と肛門管は通常、約90度の角度(直腸肛門角)を保つことで便の落下を防いでいます。上体を後傾させることでこの角度がより鋭角になり、物理的なストッパーとして機能します。座っている場合は、深く腰掛けて背もたれに体重を預け、両足をしっかりと床につけて太ももを内側に軽く引き締め、骨盤を安定させることが鉄則です。
さらに、大腸の異常興奮を鎮めるための腹痛や下痢を抑えるツボとして、以下の3点が知られています。
- 合谷(ごうこく):手の甲側、親指と人差し指の骨が交差する付け根のくぼみ。万能の鎮痛穴であり、自律神経の乱れを整え、腸の急激な痙攣を緩和します。反対側の親指で骨のキワに向かって強めに揉み込みます。
- 下巨虚(げこきょ):すねの外側、膝のお皿の下から指4本分下が「上巨虚」、さらにそこから指3本分下に位置する小腸・大腸系の要穴。急性の下痢や下腹部激痛の特効穴として知られています。
- 神闕(しんけつ):へその中央。ツボを強く押すのではなく、手のひらを密着させて体温を伝え、時計回りにゆっくりとさすることで、過剰な蠕動運動を鎮めることができます。