インターネット上の掲示板や知恵袋などでは、定期的に「豚の体脂肪率が低いのは嘘か検証してほしい」「スーパーで売られている豚バラ肉はどう見ても半分以上が脂身なのに、体脂肪率15%なんてあり得ない」という懐疑的な書き込みが散見されます。この疑問が生じる背景には、精肉コーナーで見かける特定の部位に対する強い印象があります。
食肉流通の一次情報と日本食肉格付協会の規格を照らし合わせると、この疑念のカラクリは明確に氷解します。結論から言えば、「体脂肪率15%」は生体全身の総重量に対する割合であり、肉の部位ごとに脂肪含有量は劇的に異なります。
事実として、豚のバラ肉(三枚肉)の脂質割合は約35〜40%に達します。ベーコンや角煮に使われるバラ肉を見れば、誰しも「脂の塊」という印象を持つのは当然です。しかし、豚1頭から取れる枝肉全体を俯瞰すると、食用豚の皮下脂肪と赤身比率は全く異なる姿を見せます。豚肉の重量の大部分を占めるのは、ヒレ(脂質約3.5%)、モモ(脂質約10%)、ウデ(脂質約14%)、ロース(脂質約19%)といった部位です。これら赤身主体の部位が全体の大半を占めるため、骨や内臓も含めた個体全体で換算すると、赤身筋肉量が約50%以上を占め、体脂肪率は綺麗に15%前後に着地します。
食肉解体の現場職人が「豚は骨と赤身のフレームが頑強で、無駄な脂肪を削ぎ落とす歩留まり作業を行っても、想像以上に筋肉の塊として仕上がっている」と証言するように、バラ肉の局所的なイメージが個体全体の体脂肪率と混同された結果、ネット上の「嘘説」が独り歩きしてしまったのが真相です。