形状の確認に次いで不可欠なアプローチが、果皮のテクスチャーと軸(果梗)の観察です。梨は大きく「赤梨系(幸水、豊水、新高など)」と「青梨系(二十世紀など)」に分類されますが、それぞれにおいて美味しい梨の皮の色と斑点には明確な差異が生じます。
赤梨の場合、未熟な時期は全体が緑がかっており、成熟が進むにつれて黄土色、さらには深みのある琥珀色(赤褐色)へと変化していきます。甘みを最優先にするならば、緑色が完全に抜け、全体が明るい赤褐色に染まった個体を選ぶのが正解です。また、果皮表面に見られる無数の白い斑点は「果点(かてん)」と呼ばれる気孔がコルク化した組織です。未熟な果実ではこの斑点がザラザラと尖って手触りとして強く残りますが、完熟期を迎えて果実が内部からパンパンに膨らむと、果点の隙間が押し広げられて手触りが滑らかになっていきます。すなわち、「ざらつきが落ち着き、ややツルリとした感触を帯びてきた状態」が完熟の証左です。
さらに見落としてはならないのが、梨の軸太さ見分けによる樹勢の判定です。果実上部から伸びる軸が干からびて細く縮れているものは、収穫から日数が経過しているか、樹勢が弱い枝に結実していた証拠です。対照的に、「軸が太く、切り口がみずみずしく、緑色の生気が残っているもの」は、太い維管束を通じて最後までたっぷりと光合成産物を吸収していたことを物語っています。果実全体の重量感と太い軸、この二重のチェックが極上の果汁量を約束します。