本作の舞台は、儒教的秩序が社会の隅々にまで浸透していた19世紀初頭の朝鮮王朝。王宮の歴史をありのままに記録する「芸文館(イェムングァン)」に史上初めて登用された4人の女性史官(女史)と、閉ざされた宮殿で生きる王族たちを取り巻く人間関係は、単なる恋愛ドラマの枠組みを遥かに超えた重層的な構造を持っています。
物語の軸となる主要キャラクターと、それを演じた俳優陣の配置は以下の通りです。
■ ク・ヘリョン役 / シン・セギョン
幼少期を清(中国)で過ごし、ガリレオの地動説など西洋の学問や自由思想に親しんだ型破りな両班の令嬢。26歳という当時としては異例の「行き遅れ」を自認しながらも、家督のために望まない政略結婚を強いられる直前、女性別科(女史登用試験)に合格して宮廷へ飛び込みます。権力者に対しても一切ひるまず、歴史の証人として筆を握り続ける不屈の精神の持ち主です。
■ イ・リム(トウォン大君)役 / チャウヌ(ASTRO)
王位継承序列第2位の王子でありながら、宮殿の奥深くに隔離され、監視同然の孤独な生活を送る青年。宮廷の外では「梅花(メファ)」というペンネームで都中の女性を熱狂させる恋愛小説家として生きています。ヘリョンとの出会いを通じて世間の不条理と己の出生の秘密を知り、未熟な王子から一人の自律した人間へと覚醒していきます。
■ イ・ジン(王世子)役 / パク・ギウン
病弱な父王に代わり摂政を務める開明派の世子。弟リムを心から慈しみ、古い慣習に縛られた重臣たちと孤軍奮闘しながら国政の近代化を模索します。ヘリョンをはじめとする女性史官の採用を決断した張本人でもあり、政治的リアリズムと兄弟愛の間で苦悩する骨太な指導者をパク・ギウンが圧巻の説得力で演じ切りました。
■ ミン・ウウォン役 / イ・ジフン
芸文館の正八品「奉教」であり、ヘリョンたちの厳格な教育係を務める先輩史官。朝廷の最高権力者である左議政ミン・イクピョンの息子でありながら、父の専横に激しく反発し、史官の独立性と中立性を命懸けで守り抜こうとします。冷徹な佇まいの奥に秘めた情熱と哀愁を見事に体現しました。
■ ソン・サヒ役 / パク・ジヒョン
ヘリョンと同期の女史。名門両班の出身でありながら、男尊女卑の家父長制に強い憤りを抱き、自らの力で運命を切り拓く野心を秘めています。左議政のスパイとして王世子イ・ジンに接近するものの、彼の高潔な志に触れて葛藤する複雑な内面を、新人時代のパク・ジヒョンが鮮烈に演じました。
脇を固めるベテラン陣やカメオ出演の豪華さも見逃せません。ヘリョンの義兄ク・ジェギョン役のコン・ジョンファン、大妃イ氏役のキム・ヨジン、そして物語の核心である20年前の悲劇を握る廃主イ・ギョム役のユン・ジョンフンなど、確かな演技力を備えた布陣がドラマ全体の緊迫感を支えています。また、幼少期のイ・リムを演じた子役キャストたちの繊細な演技も、主人公が抱える深い孤独の背景を際立たせる重要な役割を果たしました。