「知識がなくて、昨日まで毎朝卵かけご飯を食べていた」「外食のすき焼きで無意識に生卵にくぐらせてしまった」という相談は、産婦人科の外来でも日常茶飯事です。すでに食べてしまった場合、恐怖からパニックに陥る前に、以下の冷静なステップを実行してください。
第一に、「食べた直後に無理やり指を突っ込んで吐く」行為は絶対に避けてください。食道粘膜を傷つけたり、腹圧がかかって子宮収縮を誘発したりする危険があります。また、日本の衛生基準において、一度生卵を食べたからといって必ず食中毒になるわけではありません。発症確率は統計的にも非常に低いため、まずは深呼吸をして心を落ち着かせることが最優先です。
その上で、食後72時間は体調の経過観察を行います。具体的には以下の3項目をメモに残してください。
- 生卵を口にした正確な日時
- 卵の賞味期限、保存状態(冷蔵庫に入っていたか、常温放置されていたか)
- 体温の推移、腹痛や便の状態(軟便・水様便の有無)
もし潜伏期間中に「水のような下痢が止まらない」「38℃以上の熱が出た」「立っていられないほどの腹痛がある」といった兆候が現れた場合は、迷わずかかりつけの産婦人科へ連絡を入れましょう。その際、ドラッグストアで市販の下痢止め(止瀉薬)を自己判断で服用することは厳禁です。下痢止めを飲むと、体外へ排出すべき病原菌や毒素が腸内に滞留し、かえって病状を悪化・長期化させる原因になります。受診時は「妊娠何週か」「生卵を食べた日時」を医師に明確に伝えてください。