病歴・就労状況等申立書は、発病から初診日、そして現在に至るまでの経緯を「3年から5年ごとの期間」に区切って整理するのが基本ルールだ。通院先が変わった場合は、期間内であっても欄を分けて記載する。スペースが足りない場合は日本年金機構が指定する「続紙」を用いて過不足なく書き記す。
ここでは申請件数が多く、審査基準の解釈で判定が分かれやすいうつ病などの精神疾患と、発達障害(ASD/ADHD)の記入例を整理した。
うつ病・気分障害の場合の記入例
うつ病の申立書では、「気分の落ち込み」といった内面的な感情だけでなく、「生活機能の停止」と「他者からの具体的援助」を行動レベルで書くことが審査の突破口となる。
【記入例:発病〜初診日】
「2026年4月頃、業務過多(月80時間の残業)と人間関係のストレスから不眠、強い焦燥感、食欲不振が出現。朝起き上がれず遅刻や欠勤が増加した。家族の強い勧めで2026年6月10日、〇〇メンタルクリニックを初診受診。『うつ病』と診断され、投薬治療を開始した」
【記入例:現在(直近の療養状況)】
「1日の大半をベッドの上で過ごし、日中の活動はほぼ不能。服薬管理は自力では行えず、同居の母がピルケースに仕分けて手渡している。入浴は週1回が限度で、母の声かけと見守りがなければ着替えも行えない。食事は用意されたものを少量口にするのみで、外出は月1回の通院(家族が車で同行)以外は完全に途絶えている」
発達障害(ASD・自閉スペクトラム症/ADHD・注意欠如多動症)の場合の記入例
発達障害の申立書で最も重要なのは、「出生時から現在までの連続性」を示す点にある。生まれつきの特性であるため、病歴の第1欄は必ず「出生時から小学校就学前」とし、その後も「小学校」「中学校」「高校」「大学・専門学校」「就職後」と段階を追って記述を進める。
【記入例:幼少期〜学生時代】
「幼児期から強いこだわりと集団行動への不適応があり、周囲の指示に従えずパニックを起こすことが多かった。学校生活では提出物の管理が一切できず、忘れ物が日常化。他者の感情を汲み取ることが極めて苦手で、一方的な発言から同級生とのトラブルが頻発し、孤立状態が続いた」
【記入例:就職後〜現在(就労・生活の困難)】
「一般企業に入社するも、マルチタスクや口頭指示の理解が困難でミスが頻発。優先順位の判断ができずパニック状態に陥り、強い抑うつ症状を併発して2026年3月に退職。現在は一人暮らしを維持できず実家に戻り、金銭管理・役所手続き・掃除・洗濯のすべてを両親に依存している。指示がなければ食事を忘れるなど、自立した生活は著しく困難である」