口の周りや鼻の下、あご先にかけて、直径1〜2ミリ程度の赤い丘疹(ブツブツ)や膿疱(小さな膿のたまり)が多発する口囲皮膚炎。この疾患の最大の特徴は、唇の輪郭(赤唇縁)のすぐ周囲数ミリには皮疹が出ず、皮膚の色が白く保たれる「クリアゾーン」が存在する点にあります。この視覚的特徴こそが、唇そのものまで炎症が及ぶ口唇炎や接触皮膚炎との大きな識別点です。
取材に応じた皮膚科専門医によると、診察室を訪れる患者の多くが「最初は小さな赤みだったのに、保湿や市販薬を念入りに塗るほど範囲が広がった」と証言します。これこそが口囲皮膚炎の典型的な落とし穴です。肌荒れを治そうとして油分の多いバームやクリームを厚塗りすると、皮膚の毛包開口部が閉塞し、毛包内に生息する常在菌(アクネ菌やマラセチア菌、ニキビダニなど)が異常増殖して局所的な炎症反応が引き金となってしまいます。
さらに見逃せない口囲皮膚炎原因として、現代人の生活環境と身体の内的な脆弱性が挙げられます。医療情報メディア『メディカルドック』の医師解説でも指摘されている通り、ビタミンB2やビタミンB6、鉄分の不足は表皮のターンオーバーを狂わせ、粘膜・皮膚のバリア機能を著しく低下させます。そこに日常的なマスクの着脱による物理的摩擦、呼気による湿潤環境、あるいはフッ素高濃度配合の歯磨き粉による化学的刺激が加わることで、微細な炎症が慢性化へとシフトしていくのです。