ベアブリックの価値を担保している強力なエンジンのひとつが、国内外のカルチャーアイコンたちによる公然の支持です。海外では、ミュージシャンでありルイ・ヴィトンのメンズ・クリエイティブ・ディレクターを務めるファレル・ウィリアムスをはじめ、カニエ・ウェスト、BTSのメンバー、世界的DJのZeddなどが自宅やプライベートスタジオに大量の1000%ベアブリックを並べている様子をメディアで公開してきました。
日本国内においても、木村拓哉氏が自宅リビングに飾られたコレクションをSNS等で披露して話題を呼んだほか、アートへの造詣が深い香取慎吾氏、GENERATIONSの佐野玲於氏など、ストリートファッションやアートの目利きとして知られる著名人が熱心なコレクターとして知られています。
消費社会学および心理学の観点からこの現象を紐解くと、興味深い人間心理が浮かび上がります。
第一に、「コレクション欲の細分化とコンプリート動機」です。心理学者バラス・スキナーの強化理論が示すように、ベアブリックの100%シリーズに代表される「ブラインドボックス(中身が見えない箱)」形式は、何が出るかわからない不確実性によってドーパミンの分泌を促進します。レアアイテムである「シークレット」や混入率数パーセントのモデルを引き当てたときの快感は、コレクターを沼へと引き込む強力な仕掛けです。
第二に、「スノッブ効果とカルチャー資本の可視化」です。ピエール・ブルデューが提唱した「文化資本(どのような文化的教養や趣味嗜好を持っているか)」を、ベアブリックは極めて分かりやすい形で空間に具現化します。「私はストリートカルチャーの文脈を理解しており、かつ高価な1000%モデルを部屋に飾るだけの財力と住空間の余裕がある」という無言のメッセージを、訪問者やSNSのフォロワーに対して一瞬で伝達する記号として機能しているのです。