ネット上のQ&AサイトやSNSでは、「薬用石鹸を使えばウイルスを殺せるのか」「アルコールスプレーを部屋中に噴霧すれば感染を防げるか」といった疑問や誤解が散見されます。ここで明確に正しておくべき事実があります。
まず、石鹸そのものに手足口病ウイルスを直接死滅させる薬理作用はありません。それにもかかわらず厚生労働省が流水と石鹸による手洗いを最優先に推奨するのは、「ウイルスの物理的排除」がどの消毒剤よりも確実だからです。石鹸の泡が手の皮脂汚れを包み込み、皮膚のシワや爪の隙間に潜むウイルス粒子を浮き上がらせます。それを15秒以上流水で押し流すことで、手指に付着したウイルスの残存数は1万分の1近くまで激減します。
また、もう一つの重大な盲点が「症状が消えた後のウイルスの排出期間」です。手足の発疹が引き、解熱して元気を取り戻した後も、患児の呼吸器からは1〜2週間、便中からはなんと2〜4週間以上にわたってウイルスが体外へ排出され続けます。
「熱が下がったからもう安心」と油断し、おむつ交換後の手洗いを怠った父親や母親が、治癒から2週間後に発症して倒れるケースが現場で頻発しています。発疹消失後も最低1ヶ月間は、おむつ処理時の使い捨てビニール手袋着用と徹底した流水手洗いを継続しなければなりません。