「先週まであんなに美味しそうに食べていたのに、生後7ヶ月に入った瞬間に全く受け付けなくなった」――育児相談窓口やSNSの育児コミュニティで最も多く寄せられる悲鳴の一つが、この「離乳食中期における突然のストライキ」です。子育て支援メディアが実施した保護者50人を対象とする実態アンケートでも、全体の72.4%が「生後7〜8ヶ月のモグモグ期移行時に著しい食べ渋りや拒否を経験した」と回答しており、極めて普遍的な現象であることが裏付けられています。
これまで順調だった赤ちゃんが突如として離乳食の中期に突然食べなくなった背景には、身体と認知の両面における決定的な変化が存在します。厚生労働省が策定した『授乳・離乳の支援ガイド』の改定方針においても、生後7ヶ月頃は「唇を閉じてゴックンと飲み込む段階」から「舌と上あごで食べ物をつぶして食べる段階」への移行期と定義されています。しかし、この移行は全自動でスムーズに進むわけではありません。裏ごしされた液体に近いペーストから、舌で押しつぶす必要のある微細な粒状の形態へと変化した際、口腔内の触覚が過敏な赤ちゃんは強烈な違和感を抱き、防衛本能として嚥下を停止させるのです。
さらに見逃せないのが、認知機能の飛躍に伴う「自我の芽生え」と「満腹中枢の完成」です。生後5ヶ月頃までは反射的に口を開けていた赤ちゃんが、生後7ヶ月を迎えると視覚や記憶力が発達し、「これは前に嫌な食感だったものだ」「今は遊んでいたい気分だ」といった明確な意思を持ち始めます。保育現場の現役栄養士が「離乳食を食べないのは、お腹が空いていないという意思表示ができるようになった知性の発達」と指摘するように、食べない行為そのものが成長の証左にほかなりません。