古銭の取り扱いにおいて、素人が最もやってしまいがちな致命的な過ちが「ピカピカに磨いてしまうこと」です。
銀は空気中の硫黄分と反応し、年月とともに黒く変色(硫化)します。この黒ずみや独特の風合いを、骨董・古銭の世界では「トーン」や「古色(こしょく)」と呼び、経てきた時間の証明として高く評価します。銀磨き専用のクロスや重曹、酸性薬品を用いて強引に銀白色に戻してしまうと、貨幣表面の微細な金属結晶が破壊され、専門業者の間では「洗品(洗い)」として極端に評価を落とされます。
実際、未洗浄であれば5万円の価値がついたはずの明和南鐐二朱銀が、磨き傷だらけになったことで地金相当の銀価格(千数百円程度)まで買取額が暴落した実例もあります。蔵や引き出しから黒ずんだ南鐐二朱銀が見つかっても、絶対に拭いたり洗ったりせず、そのままの状態で査定に出すことが鉄則です。