1990年代、東南アジアの夜明けとともに立ち上がった国家プロジェクトがあった。マレーシアを先進国の仲間入りさせようと情熱を燃やしたマハティール・ビン・モハマド元首相が推し進めた「ビジョン2026」構想だ。その最大のシンボルとして計画されたのが、国営石油会社ペトロナスの本社ビルでもある複合施設だった。
首都クアラルンプールの競馬場跡地を再開発し、世界中を驚かせる超高層ビルを建てる。当時、誰もがそのスケールの大きさに半信半疑だった。しかし、完成した姿はアジアの経済的台頭を世界に誇示する圧倒的な存在感を放つことになる。単なる巨大構造物ではなく、国の未来と自尊心を背負った建造物だったのだ。