長きにわたり『SHOCK』の聖地であり続けた帝国劇場の建て替え・休館は、ひとつの時代の区切りを象徴している。劇場の歴史とともに歩み、その機構を知り尽くした彼だからこそ、ハードウェアの制約を超えた新しい空間演出の可能性を模索している。
彼の舞台演出論の根底にあるのは、「観客の視線と感情の完全な掌握」だ。フライングひとつをとっても、単なるアクロバットではなく、登場人物の葛藤やカタルシスを観客の胸に直接突き刺すための必然性として設計されている。劇場の建て替え期間中であっても、仮設劇場やアリーナ、さらには地方都市の歴史的建造物を活用したサイトスペシフィックな試みなど、既成概念にとらわれない空間活用プランが検討されているという。劇場の壁が消えても、彼の創り出すイリュージョンは揺らがない。