星由里子さんの魅力は青春映画のマドンナ役にとどまりません。幅広い役柄をこなす卓越した演技力で、東宝の特撮映画や骨太な文芸ドラマにおいても鮮烈な足跡を残しています。
特撮ファンの間で不朽の名作として語り継がれているのが、1964年公開の映画『モスラ対ゴジラ』です。星さんは怪獣の脅威に立ち向かいながら真実を追う報道カメラマン・中西純子役を熱演。持ち前の知性と行動力を前面に押し出した凛々しい演技は、従来の怪獣映画における女性像を塗り替える高い評価を獲得しました。続く『三大怪獣 地球最大の決戦』でも存在感を示し、東宝特撮黄金期を支える重要人物となったのです。
さらに時代劇『佐々木小次郎』(1967年)やスペクタクル巨編『世界大戦争』(1961年)など、重厚な作品群でも繊細な心理描写を披露。テレビ時代へ移行した後は、花登筺氏原作のドラマ『ぬかるみの女』(1980年)で幾多の苦難に耐えながら生き抜くヒロインを泥臭くも力強く演じ切り、清純派からの見事な脱皮を果たして演技派女優としての名声を確立しました。