英国医学のパイオニアである学祖・高木兼寛が掲げた「病気を診ずして病人を診よ」という理念。140年以上の時を超えてなお、東京慈恵会医科大学の骨格を成している。単に病変部位を処置する技術者にとどまらず、患者の背景や生活全体を見つめる人間尊重の態度は、すべての講義や実習に深く息づく。
日本の医学教育が直面する課題は多い。知識偏重の暗記学習から、現場で即戦力となる実践力へのシフトが急務だ。その点で、早くから臨床医学を重視してきた慈恵のカリキュラムは異彩を放つ。早期からの病院実習を通じて、学生は病棟の空気感と患者との対話を肌で学んでいく。