表彰台に3度登壇しながら、なぜ日本人はこれまで一度も「優勝」に手が届かなかったのでしょうか。そこにはドライバー個人の能力だけでは埋められない、複数の構造的な要因が存在します。
最大の理由は「チャンピオンシップを争えるトップチームのレギュラーシートに座れなかったこと」です。F1はマシンの性能差がリザルトの8割以上を左右する競技です。歴代の日本人ドライバーが搭乗したマシンは、中段グループか、良くても表彰台争いができるパッケージであり、年間を通じてメルセデス、フェラーリ、レッドブルのような絶対的支配力を持つワークスカーの「ファーストドライバー」として走る機会はありませんでした。
さらに、言語や文化の壁、ヨーロッパのパドックにおける政治力(チーム首脳陣やFIAとのパイプライン)の差も大きく影響してきました。しかし現在では、幼少期から欧州へ単身渡り、現地のレースコミュニティに完全に溶け込む育成スタイルが定着したことで、こうしたハンディキャップは過去のものとなりつつあります。