新左翼の自滅を象徴するのが、1972年のあさま山荘事件だ。極寒の浅間山麓で繰り広げられた警察部隊との10日間に及ぶ攻防戦は、生中継を通じて列島を震撼させた。だが、真の戦慄はその山荘に立てこもる前に行われていた「総括」と呼ばれる陰惨なリンチ殺人、すなわち内ゲバにあった。
同志を「敗北主義者」「ブルジョア的」と糾弾し、12人もの仲間を冷酷に処刑した心理構造とは何だったのか。若松孝二監督の映画『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』は、閉鎖空間で狂気に呑まれていく若者たちの実像を容赦なく描いた。現在もNetflixやNHKオンデマンドなどの配信プラットフォームを通じて若い世代に視聴され、カルト的集団心理の恐ろしさを伝えるテキストとして再評価されている。閉鎖空間での同調圧力は、半世紀を経た今も形を変えて社会に潜んでいる。