このエンブレムの生みの親とも言えるのが、希代の経営者リー・アイアコッカだ。1960年代初頭、ベビーブーム世代の若者が求める「手頃で、スポーティで、美しいクルマ」を具現化すべく、フォード・モーター社内で極秘プロジェクトを推進した。
そうして世に放たれたフォード・マスタングは、発売初日で2万2000台以上の受注を記録し、わずか1年で40万台以上を売り上げる社会現象となった。コンパクトなボディに長いノーズ、短いデッキ。そこに野生馬のバッジを掲げた姿は、後に「ポニーカー」と呼ばれる新たなジャンルを築き上げ、保守的だったアメリカの自動車産業を根底から揺さぶった。