江角マキコ氏のキャリアは、日本の映画界・テレビ界において極めて特異で輝かしいものだった。是枝裕和監督の長編デビュー作『幻の光』(1995年)で主演を務め、ヴェネツィア国際映画祭で絶賛を浴びたことで、彼女は一躍アートフィルム界のミューズとして脚光を浴びる。
その後、フジテレビジョン系列で放送された大ヒットドラマ『ショムニ』シリーズにおいて、型破りなOL・坪井千夏役を演じ、脚立を担いで颯爽と歩く姿は社会現象となった。強気で媚びない自立した女性像は、1990年代後半から2000年代にかけて多くの女性視聴者から絶大な支持を集めた。
しかし、メディアを通じて確立された「歯に衣着せぬ姉御肌」というパブリックイメージは、私生活のトラブルが表面化した際に大きな反動となって跳ね返ってきた。作られたキャラクターと私生活での不器用さとのギャップが、世間の批判をより苛烈なものにしてしまった皮肉は否めない。