華やかな熱狂の裏側には、胸を打つ保護犬の物語が存在する。2008年、ブリーダー廃業に伴いボランティア団体に保護された柴犬。放置されれば殺処分という過酷な運命の淵から救い出したのが、飼い主である佐藤敦子さんだった。旬の果実のように丸く愛らしい顔立ちから「かぼす」と名付けられ、佐倉市での穏やかな暮らしが始まる。
人間の勝手な都合で傷ついた過去を持ちながらも、佐藤さんの注ぐ無条件の愛情によって、彼女は穏やかで深い信頼をたたえた瞳を取り戻していった。世界中を虜にしたあの柔らかな表情は、愛されて生きる幸せそのものだったのだ。一匹の保護犬が歩んだシンデレラストーリーは、ペットの殺処分問題や動物福祉に対する意識を世界規模で高める大きな原動力となった。