国の公文書が「子供」へと回帰する一方で、行政機関や大手メディアでは異なるアプローチが採られるケースもあります。その代表例が、2026年に発足した国の行政機関「こども家庭庁」です。
こども家庭庁のひらがな表記には明確なメッセージが込められています。漢字の「子供」や交ぜ書きの「子ども」ではなく、すべてひらがなの「こども」を採用した理由は、「乳幼児から若者まで幅広い年齢層を包摂すること」に加え、「こども自身の視点に立ち、こども自身が読める親しみやすい表記にする」という理念に基づいているためです。ここでのひらがな採用は差別問題ではなく、アクセシビリティとブランディングの観点によるものです。
一方、新聞やメディアの用字用語基準(共同通信社の『記者ハンドブック』や各紙の用字用語集)では、長年にわたり「子ども」の表記を標準として採用してきました。メディア各社が交ぜ書きを用いるのは、画数が多く堅苦しい印象を与える漢字を避け、紙面全体をやわらかく読みやすい印象にするためのレイアウト・視覚上の工夫が主たる理由です。