岸信介という複雑怪奇な人物像は、さまざまなメディアや映像作品でも繰り返し描かれてきた。政治の舞台裏を生々しく描いた名作映画『小説吉田学校』では、冷徹な策略家としての岸の姿が鮮烈に刻まれている。
また、NHKスペシャル『戦後70年 ニッポンの肖像』をはじめとする骨太な政治ドキュメンタリーでは、機密解除された米国の外交公文書や当時の側近たちの証言をもとに、日米交渉における岸の鬼気迫る交渉術が浮き彫りにされた。現在ではNHKオンデマンドやNetflixなどの各種配信プラットフォーム、さらには報道・メディア出版のアーカイブを通じて、当時の熱狂的なデモ映像や岸自身の肉声を容易に視聴できる。一次資料や映像を通して見る彼の立ち振る舞いは、単なるステレオタイプな悪役像を打ち砕き、凄みのある国家指導者としての実像を突きつけてくる。