「手書き領収書があるから経費として認められるはずだ」という過信は、税務調査において最も危険な落とし穴となる。国税庁の調査官が着目するのは、書類の表題が「領収書」か「レシート」かではない。その取引がいつ、どこで、誰に対して、どのような目的で支払われたかという客観的な事実性である。
実のところ、品目の詳細や単価、取引時刻まで機械的に印字されるレシートのほうが、証拠力としては遥かに高い評価を受けるケースが目立つ。手書きの領収書は発行者の主観や記載ミス、場合によっては改ざんの余地が残る。形式にとらわれてレシートを破棄し、中身の不透明な領収書だけを残す行為は、自ら証拠能力を弱めているに等しい。