「前髪のうねりがどうしても許せず、毎月リタッチを繰り返していたら、ある日突然毛先がホウキのようにチリチリに爆発した」――。これはネット掲示板や美容相談で日常的に見られる典型的な悲鳴だ。
結論から言えば、前髪縮毛矯正のかけすぎのリスクは極めて高く、その最たる結末が毛髪修復不可能な重度損傷である「ビビリ毛」の発生である。
縮毛矯正は、アルカリ剤などで髪の主成分であるシスチン結合を切断(還元)し、熱アイロンによって再整列させ、過酸化水素等で再酸化・固定する高度な化学処理だ。毛髪は一度受熱・軟化すると、内部のタンパク質がゆで卵のように硬化する「熱変性」を起こす。一度縮毛矯正をかけた部分は、見た目はサラサラであっても、内部の体力は大幅に削られている。
ここに毎月のように薬剤が被る「薬剤のオーバーラップ」が起きるとどうなるか。耐力を失ったコルテックス(毛髪内部組織)は不可逆な損傷を受け、キューティクルは剥離し、髪の構造が完全に崩壊する。これこそが前髪縮毛矯正のビビリ毛の真相だ。一度ビビリ毛になってしまった前髪は、いかなる最高級トリートメントを用いても元には戻らず、カットして物理的に切り落とす以外に再生の道はない。
さらに前髪は、額から分泌される皮脂や日常的な洗顔時の水分、毎朝のメイク時に触れる摩擦などに常に晒されている。頭頂部や後頭部に比べて髪が細く、産毛が密集しているため、耐薬品性が極めて低い。この繊細なゾーンに対して「毎月矯正を当てる」という選択は、毛髪科学的に見て自爆行為と言わざるを得ない。