ハワイ・真珠湾に拠点を置く合同台風警報センター(JTWC)は、アメリカ海軍(U.S. Navy)とアメリカ空軍(U.S. Air Force)が共同運用する軍事気象機関だ。その本来の任務は、太平洋およびインド洋における米軍基地、軍艦、航空機の運用安全を守る点にある。国家の防衛資産と兵士の生命を預かる機関であるため、予報のスタンスは極めて厳格かつ保守的だ。「少しでも危険があれば最悪の事態を想定して回避させる」という思想が根底にある。
この徹底した安全第一のプロトコルが、日本の民間防災関係者や海運・航空物流業界からも厚い信頼を寄せられる理由となっている。一般的な天気予報が市民生活の利便性や経済活動への影響を勘案して慎重に予報円を広げるのに対し、米軍のデータは一点の曖昧さも排したシャープなラインで危険海域を突きつける。その無機質でシビアな予測が、プロフェッショナルの危機感を呼び覚ます。