なぜ、これほどまでに満足度と後悔の落差が生じてしまうのでしょうか。日本美容外科学会(JSAPS/JSAS)関連の報告や形成外科専門医への取材から、失敗を引き起こす3大構造要因を整理しました。
第1に、「眼窩脂肪の過剰切除(取りすぎ)」と「取り残し」のアンバランスです。眼窩脂肪は内側・中央・外側の3つのコンパートメントに分かれており、解剖学的な熟練がない医師が施術すると、取りやすい中央部ばかりを切除して内側の膨らみが残ったり、逆に深部まで脂肪を取りすぎて眼球が奥に落ち込んだような不自然な陰影(ハローアイ現象)を形成します。
第2に、「ティアトラフ靭帯(Tear Trough Ligament)」の拘束解除が行われていない点です。目の下のたるみの下端には、皮膚と骨を強く結びつける強固な靭帯が存在します。この溝(ハの字の影)を無視して脂肪だけを抜いても、皮膚の引き込みが残るため、黒クマが完全に消失することはありません。
第3に、商業主義的なクリニックによる「過剰なアップセル(抱き合わせ施術)」の存在です。大手美容外科の一部では、「切らない目の下のたるみ取り 数万円」という格安広告で集客し、カウンセリングルームで「脱脂だけだと窪むので、太ももから採取した脂肪注入(数十万円〜百万円超)が絶対に必要」と強引に契約を迫る手法が横行しています。経験の浅い医師による不均一な脂肪注入によって、術後にしこり(石灰化)や凹凸が生じ、修正手術に苦しむ被害相談が急増しています。