日本の小中高校で行われる体力テスト。時折「俺、高校のとき50m5秒9だったんだよね」という話を聞くことがある。しかし、これは陸上競技の公認記録とは大きな隔たりがあることを理解しなければならない。
最大の違いは「計測方法」だ。学校の体力テストの多くは、計測員が目視でスタートを見てストップウォッチを押す「手動計測」で行われる。人間の視覚反応や指の動作には必ず0.2秒から0.3秒程度の遅れが生じる。そのため、手動計測のタイムは電動計測(写真判定システム)よりも0.2〜0.4秒ほど速く計測されやすい。
つまり、学校の体力テストで記録された「5秒9」は、陸上競技の厳密な電動計測に換算すると6秒2〜6秒3程度になる。室内世界記録の5秒56がいかに異次元の域にあるかが分かるだろう。