男性たちが一人の完璧な女性を奪い合う『バチェラー・ジャパン』の男女逆転版として、Amazon Prime Videoが満を持して送り出した『バチェロレッテ・ジャパン』シーズン1。ワーナー・ブラザース・インターナショナル・テレビジョン・プロダクションが手掛ける世界的なフォーマットを基盤に、Amazon MGMスタジオが日本独自のエモーショナルな文脈を注ぎ込んだこの恋愛リアリティ番組は、従来のデート・ゲーム・ショーが持っていた「勝敗」の概念を根底から覆した。
その中心にいたのが、画家の杉田陽平――通称「杉ちゃん」だった。高身長、鍛え上げられた肉体、社会的ステータスを誇る猛者たちが並び立つなか、彼はまるで異邦人のように佇んでいた。司会の坂東工が重厚な声で場の緊張感を高めるなか、杉田が見せたのは虚勢ではなく、恐れと震えをありのままに認める勇気だった。彼は誰もが身につけている心理的な鎧を、最初の数分で脱ぎ捨ててみせたのだ。
初代バチェロレッテを務めた福田萌子は、その規格外の感性と無垢な誠実さを瞬時に見抜いた。杉田が発する一言一言は、洗練された口説き文句などではなく、魂の深淵から絞り出された詩そのものだった。自信のなさを受け入れ、それを他者への優しさと自己表現へと昇華させていく彼の成長譚は、競争社会に疲弊していた現代人の心へ深く突き刺さった。