旧華族の末裔が経済的勝者であり続ける最大の物理的基盤、それは「東京都有数の超一等地」の保有である。
大名屋敷や公家屋敷が立ち並んでいた千代田区、港区、文京区、渋谷区の土地。戦後の混乱期にその多くが売却されたとはいえ、要所を「貸地」として残した家系は、戦後の高度経済成長期からバブル期、そして近年の都心再開発ラッシュに至るまで、莫大な地代収入と不動産価値の上昇を享受し続けた。
彼らが自ら泥臭い開発を手がけることは稀だ。多くは大手デベロッパーに土地を定期借地として貸し出すか、自前の不動産業法人を通じて信託銀行に管理を委託する。これにより、直接的な事業リスクを負うことなく、毎月天文学的なキャッシュフローを手にする。不動産から生まれる富は次の優良資産へと再投資され、インフレが進行する現代において、持てる者と持たざる者の格差をさらに決定的なものにしている。