日本と欧州、あるいは北米との時差は決して小さくない。日本時間の深夜から早朝にかけてキックオフされるビッグマッチを追うことは、身体的には過酷そのものだ。しかし、サポーターたちにとってその時間は何物にも代えがたい「聖域」となる。
暗闇の部屋で放たれる青白い画面の光。ゴールが決まった瞬間の抑えきれない叫び。X(旧Twitter)上で交わされる見知らぬ同志たちとのリアルタイムの歓喜。翌朝の仕事や学校に対するささやかな恐怖を覚えつつも、人はなぜ画面に向かうのか。それは、一瞬の歓喜がもたらすカタルシスが、日々のストレスや徒労感をすべて吹き飛ばしてくれるからだ。フットボールはもはや単なる娯楽ではなく、明日を生きるための感情のエナジードリンクなのだ。