シャア・アズナブルの生涯は、宇宙世紀の激動と完全に軌を一にしています。公式設定資料およびサンライズ公式年表に基づく彼の年齢と階級の変遷を整理すると、彼が駆け抜けた歳月の密度が浮き彫りになります。
本名キャスバル・レム・ダイクンとして宇宙世紀0059年11月17日に生を受けた彼は、ジオン共和国の創始者である父ジオン・ズム・ダイクンの暗殺(ザビ家による謀殺説が有力)を機に、妹のアルテイシア(セイラ・マス)と共に地球へ亡命。「エドワゥ・マス」と名を変えて過酷な逃亡生活を送ることになります。
彼が「シャア・アズナブル」の名で世に出たのは、ジオン公国軍士官学校に入学した十代半ばのことです。そして宇宙世紀0079年に勃発した一年戦争時、開戦当初は19歳、劇中で描かれた9月以降のサイド7襲撃からア・バオア・クーの決戦にかけては満20歳でした。弱冠20歳にして「ルウム戦役」で戦艦5隻を単独撃破し、二階級特進で少佐へ昇進。物語終盤にはキシリア・ザビの配下で大佐にまで登り詰めています。新卒1〜2年目の若者が前線の指揮官として君臨し、国家の首脳陣と渡り合っていた事実は、現代の感覚から見ても驚愕に値します。
続く宇宙世紀0087年を舞台にした『機動戦士Zガンダム』では、偽名「クワトロ・バジーナ」を名乗り、反地球連邦組織「エゥーゴ」に参加。この時の年齢は27歳、階級は大尉でした。一年戦争の英雄でありながら、あえて一パイロットの身分に甘んじ、若きカミーユ・ビダンの指導者(メンター)として振る舞いながらも、自身の出自と責任から逃避し続けた葛藤の年代です。
そして宇宙世紀0093年の『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』において、彼は新生ネオ・ジオンの総帥として地球連邦政府に宣戦を布告します。この時の年齢は34歳。地球寒冷化作戦という人類史上最大の虐殺計画を主導するトップリーダーでありながら、内面ではアムロへの対抗心と私怨を捨てきれない、極めて複雑な精神構造を抱えたままアクシズの光の中へ消えていきました。