この建物が産声を上げたのは1933年(昭和8年)のこと。もともとは「蓮月庵」という名の地元で愛される蕎麦屋だった。しかし、店主の高齢化に伴い、一度はその歴史に幕を閉じることになる。解体の危機が迫る中、立ち上がったのは地元の住民たちだった。「この歴史ある建物を後世に残したい」という強い想いが実を結び、2015年に現在のカフェスタイルへと生まれ変わったのだ。
柱一本、窓ガラス一枚に至るまで、当時の職人の技が息づく。2階の座敷に上がれば、まるで昭和の時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるだろう。時の流れがそこだけ緩やかになったかのような感覚は、現代のコンクリート建築では決して味わえない贅沢だ。