関西圏で「船坂」が話題に上る場合、その多くは兵庫県西宮市山口町に位置する船坂地区を指します。六甲山の北側に広がるこの地域は、豊かな田園風景が広がるのどかな里山でありながら、有馬温泉や神戸・大阪市街地からのアクセスも良好です。
近年は築100年を超える古民家をリノベーションしたカフェや、地元産の上質な水と粉を用いた手打ち蕎麦店が次々とオープンし、「週末の船坂ランチ」を目的に訪れるドライブ客で賑わいを見せています。また、旧船坂小学校を活用したアートイベントなど、地域資源を活かした里山再生の先進事例としても注目されています。
一方、地理的なルーツとして外せないのが、兵庫県と岡山県の県境に位置する「船坂峠」です。古代山陽道(西国街道)の難所として知られ、中世から近世にかけては国境警備や合戦の舞台となりました。「船を逆さにしたような山容」や「舟型の谷」に由来するとされる地名は、古くから交通と物流の要衝であった歴史を雄弁に物語っています。