蓬莱竜太の経歴を紐解くと、愚直なまでに泥臭い演劇への情熱が浮かび上がります。1976年1月7日、兵庫県に生まれた蓬莱竜太は、石川県立羽咋工業高等学校デザイン科を卒業後、舞台美術を志して上京し、名門・舞台芸術学院演劇本科に入学しました。そこで出会った西川浩幸ら同期生とともに、1999年に劇団「モダンスイマーズ」を結成します。
結成当初は座付き作家兼俳優として舞台に立っていましたが、やがて作・演出に専念。市井の人々が抱える孤独、家族の軋轢、日常に潜む暴力性や哀愁を、乾いた笑いと生々しい台詞で紡ぎ出す作風は「ネオ・リアリズム」と評され、小劇場界で瞬く間に頭角を現しました。
劇作家としての評価を決定づけたのが、2009年の第53回岸田國士戯曲賞を受賞した『まほろば』です。閉塞感漂う地方都市の旧家を舞台に、女性たち四世代の性と生、血縁のしがらみを鮮烈に描き出した本作は、演劇界に大きな衝撃を与えました。その後も第18回読売演劇大賞優秀演出家賞、第20回鶴屋南北戯曲賞など国内の主要な演劇賞を総なめにし、小劇場の旗手から日本を代表するトップクリエイターへと登り詰めました。