ネット上の言説で最も誤解されているのが、「野崎幸助氏の遺産約13億5000万円を須藤被告が手に入れたのか」という点です。事実関係を整理すると、遺産の配分を巡っては現在も泥沼の民事訴訟が並行して進んでいます。
野崎氏は生前、「全財産を田辺市にキフ(寄付)する」という内容の手書き遺言書を残していました。この遺言書の有効性を巡って親族側が無効を訴える裁判を起こし、2026年に和歌山地裁が「遺言書は有効」との判断を示しました。仮に刑事裁判で無罪となった場合でも、配偶者である須藤被告には「遺留分(法定相続分の半分=財産の4分の1)」の請求権しか残されておらず、全額が彼女の手に渡るわけではありません。
さらに、野崎氏の経営していた酒類販売会社や貸金業の資産精算、税務処理を含めると、実際に現金化できる資産規模は額面より大幅に目減りすると試算されています。「巨額の富を即座に独占できる」という短絡的なシナリオは、法制度と資産の実態を無視したネット上の誤認に過ぎません。