実写映画『キングダム』の企画が動き出した際、最もキャスティングが困難と囁かれていたのが王騎将軍でした。原作における身長は2メートルを優に超え、常人を圧倒する筋肉の鎧をまとった巨躯。当時50代を迎えていた大沢たかおが挑んだのは、まさに自らの肉体を限界まで破壊し再構築する壮絶な日々でした。
関係者の証言や当時のインタビューによると、大沢は役作りのために専属トレーナーを帯同させ、連日過酷なウエイトトレーニングを敢行。単に体重を増やすだけでなく、古代中国の戦場を馬上で駆け巡る大将軍としての「説得力のある厚み」を追求しました。1日5回から6回に分けて良質なタンパク質と炭水化物を摂取し、時には深夜にアラームをかけてプロテインを流し込むなど、消化器官に多大な負荷をかけながら増量を進めたと伝えられています。
その結果、撮影開始時には普段の体重から約20kgの増量を達成。特にスクリーンで異様な威圧感を放った「腕の太さ」は、衣装部が用意した甲冑のサイズを急遽作り直す事態に発展するほどでした。CGに頼ることなく、自身の肉体そのものを王騎という巨人に近づけた大沢の執念は、現場のスタッフや共演者たちを心底圧倒したのです。