フィギュアスケートファンの間で最大の焦点となったのが、アイスダンスオリンピック出場枠を巡る複雑なレギュレーションと、その裏に隠された選考ドラマである。ペア競技において「りくりゅう」こと三浦璃来・木原龍一組の世界的な大活躍によって日本が五輪2枠を獲得したのに対し、アイスダンスは前年の世界選手権において個人種目としての出場枠獲得を逃すという苦杯を舐めた。
しかし、ここで極めて重要なのが「団体戦の出場権」である。日本は男子シングル・女子シングル・ペアの総合ポイントにより、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪の団体戦出場権を磐石の形で手中に収めていた。ISUの規定により、個人枠を持たない種目であっても団体戦出場国には「団体戦要員」として1組のみの派遣が特例的に認められる。つまり、2026年12月に行われた全日本フィギュアスケート選手権は、わずか1枚の五輪切符を争う「勝者総取りのデスマッチ」という極限のプレッシャー下で開催されたのである。
メディアの報道によると、大会には5組のエントリーがあり、リズムダンス(RD)からフリーダンス(FD)まで、一歩のミスも許されない緊迫した戦いが繰り広げられた。アイスダンス全日本選手権順位の争いは、ツイズルのわずかな回転軸のブレ、リフトの制限時間超過(1点減点)の有無がそのまま天国と地獄を分ける展開となった。アイスダンス世界選手権結果速報の数字だけでは見えてこない、極限の緊張感のなかで選手たちが絞り出した演技は、多くのファンの涙を誘った。