浴槽を満たすのは、まるで濃い紅茶のような琥珀色、あるいは漆黒とも形容できる独特の温泉だ。これは地中深くから湧き出る植物性の有機物「フミン物質」を豊富に含んだ黒湯である。肌に触れた瞬間にわかる、ぬるりとした滑らかな浴感。ナトリウム―塩化物・炭酸水素塩温泉の泉質は、湯上がりの肌を驚くほどしっとりと整えてくれる。
湯船に体を沈めると、じんわりと芯から温まっていくのがわかる。この高い保温効果こそが、地元の人々から「命の泉」と慕われてきた所以だ。露天風呂から見上げる空と、肌をなでる心地よい風。自然の恵みを全身で浴びる贅沢が、ここには確かにある。