鎌倉の中心軸を貫くメインストリート「若宮大路」。その中央に一段高く盛り土をして石垣で固められた歩行者専用道が、国指定史跡でもある若宮大路 段葛です。
鎌倉幕府の公式記録『吾妻鏡』によると、段葛の造営が始まったのは寿永元年(1182年)3月のことでした。鎌倉殿となった源頼朝が、懐妊中であった妻・北条政子の安産祈願のために自ら号令を下したと記録されています。頼朝は北条時政をはじめとする名だたる御家人たちに石や土を運ばせ、自身も工事に加わるほどの熱の入れようでした。その甲斐あって同年8月、無事に長男・源頼家が誕生しています。
一方で、段葛の存在理由は夫婦愛の物語だけに留まりません。由比ヶ浜から鶴岡八幡宮 参道として伸びる若宮大路は低湿地帯であり、大雨が降れば冠水する脆弱な土地でした。宗教的儀礼を執り行う聖なる道として一段高く盛土を施す必要があった実利的な側面と、幕府の威厳を誇示する都市計画の一環としての意味合いを兼ね備えていたことが、近年の歴史研究や発掘調査によって明らかになっています。