『サラリーマン山崎シゲル』の大成功以降、田中光氏はギャグ漫画界のトップランナーとして次々と話題作を世に送り出しています。小学館「週刊少年サンデー」で連載された『レタス2個分のステキ』をはじめ、コンビニのレジ袋と猫が融合した奇妙な生物を描く『レジネコ』、架空の夫婦生活をブラックユーモアたっぷりに描いた『私たち結婚しました』など、その作風は常に斬新で予測がつきません。
さらに見逃せないのが、絵本作家「たなかひかる」名義での大躍進です。幼児向け絵本の世界に持ち込んだシュールな笑いは、親子の心を一瞬で掴みました。第25回日本絵本賞を受賞した『ぱんつさん』をはじめ、ページをめくるとただひたすら猫が出現する『ねこいる!』、謎の言葉と疾走感がクセになる『すしん』、さらに『おばけのかわをむいたら』など、数々の絵本がベストセラーを記録しています。
一般的に、子ども向け絵本は道徳的な教訓や情操教育を意図して作られるケースが大半です。しかし、田中氏の絵本は徹底して「純粋な可笑しさ」「視覚的なインパクト」を追求。言葉の響きと絵の動きだけで子どもを爆笑させるスタイルは、教育関係者や絵本評論家からも「既存の絵本の枠組みを軽やかに破壊した」と絶賛されています。大人向けの不条理ギャグ漫画と、幼児向けの視覚的ユーモア絵本という、一見すると対極のフィールドを高いレベルで両立させている点こそ、クリエイター・田中光の真骨頂です。