公的機関が直前予知の限界を示す一方で、民間セクターではGNSS(全球測位衛星システム)データや深層学習(ディープラーニング)を用いた新しい予測手法が台頭しています。とりわけメディア露出が多く話題を呼んでいるのが、東京大学名誉教授らが立ち上げたJESEA(地震科学探査機構)による「MEGA地震予測」です。
MEGA地震予測の評判を検証すると、国土地理院が全国約1,300か所に配備する電子基準点(GEONET)の地殻変動データを解析し、地表の上下動や異常な歪みを捉えて「警戒エリア」を発令する手法をとっています。会員制サービスやアプリを通じて週間単位の警戒情報を配信しており、大きな地震の前に警戒地域に含まれていた事例がネット上で話題になる一方、地震学の研究者コミュニティからは厳しい指摘も寄せられています。
批判の主な根拠は「常時広範囲に警戒域が設定されているため、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる状態(偽陽性の多発)になっている」という点です。日本列島は常にどこかで歪みが発生しており、広範囲にアラートを出し続ければ、地震発生後に「予測が的中した」と主張しやすくなるバイアスが生じます。
近年急速に研究が進むAI地震予測の精度についても同様の課題を抱えています。過去数十万件の微小地震データや電離層データ(TEC:全電子数異常)を機械学習させ、地震のクラスタリングや発生パターンを解析する試みが世界中で行われています。しかし、学習データとなる過去の大地震サンプル数が地球科学的には圧倒的に不足していること、地球内部の非線形な破壊現象を数理モデル化しきれないことから、2026年現在のAI地震予測の精度は「特定の地殻活動パターンの検知」にとどまり、決定打となる直前予測には至っていません。