古谷一行さんの経歴・プロフィールを振り返ると、その原点は名門劇団での厳しい修行にあります。1944年1月2日、東京都に生まれた古谷さんは、中央大学法学部に進学後、役者の道を志して俳優座養成所に第16期生として入所しました。若い頃から端正な顔立ちと野性味を併せ持ち、1970年のNHK連続テレビ小説『虹』で注目を集め、一躍全国区の俳優へと駆け上がります。
その名を決定的にしたのが、1977年からスタートした毎日放送・TBS系の横溝正史シリーズ『名探偵・金田一耕助』でした。映画版で金田一を演じた石坂浩二さんの怜悧で知的なアプローチに対し、古谷一行さんの演じる金田一耕助は、お釜帽を被り、頭をボリボリと掻いてフケを散らしながら、事件関係者の哀愁に寄り添って涙を流す「泥臭く温かい人間味」に満ちていました。このテレビシリーズは単発ドラマも含めて47作以上、四半世紀にわたって演じ継がれ、お茶の間にとっての「金田一耕助の決定版」として不動の地位を築きます。
さらに1980年代から2000年代にかけては、テレビ朝日系の土曜ワイド劇場『混浴露天風呂連続殺人』シリーズにおいて、木の実ナナさん演じる相棒とともに25年間にわたり主演を務め、お茶の間の娯楽サスペンスの顔となりました。一方で、1983年の『金曜日の妻たちへ』や、1997年に社会現象となった渡辺淳一原作のドラマ『失楽園』(日本テレビ系)では、大人の男が抱える孤独と抗えない情念を川島なお美さんとともに演じ切り、日本中に不倫論争を巻き起こすほどの熱狂を生み出しました。