ネット掲示板やSNS、配信チャット欄を定点観測すると、もこうの配信に対するコミュニティの反応には、他の配信者コミュニティとは決定的に異なる特異な力学が働いていることがわかります。
リスナーから寄せられるリアクションを分析すると、最も多いのは「辛い仕事や学校が終わった後、もこうが自分以上に理不尽な目に遭ってキレているのを見て救われた」という、一種のデトックス体験を語る声です。完璧なプレイングでスマートに勝つストリーマーが溢れる現代において、もこうの泥臭いプレイングと剥き出しの喜怒哀楽は、視聴者に強烈な親近感と安心感を与えています。
一方で、チャット欄の文化(いわゆる「もこうキッズ」や古参リスナーが織りなすコメント群)は極めて辛辣です。ミスを犯せば容赦のない罵声や煽りスタンプが滝のように流れ、勝てば「奇跡」「運だけ」と冷やかされる。しかし、これは排他的な攻撃ではなく、配信者とリスナーが共犯関係となって成立させている「プロレス的コミュニケーション」の現場です。配信者が弱みを見せ、リスナーがそこを突くことで場が沸騰する。この阿吽の呼吸こそが、10年以上の歳月を経てもコミュニティが形骸化しない最大の防壁となっています。