ネットニュースやワイドショーで流布される代表的な誤解が、「若者が草食化したから結婚しなくなった」「恋愛に淡白な若者が増えた」という精神論です。しかし、国勢調査の未婚率データや国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」を精緻に検証すると、この俗論は根本から覆されます。
「いずれ結婚するつもり」と回答する未婚男女の割合は、長期的に微減傾向にあるものの、依然として男女ともに7割〜8割前後という高い数値を保っています。若者の内面的な結婚願望が劇的に蒸発したわけではありません。問題は、交際意欲がないことではなく、「交際をスタートさせ、持続させるための経済的・時間的ゆとり」が極端に削ぎ落とされている点にあります。
もう一つの盲点は、「結婚=フルパッケージ」という呪縛です。持ち家を購入し、車を所有し、子どもに十分な塾通いや高等教育を受けさせ、老後資金も2,000万円蓄える――。昭和から平成にかけて定着した「標準世帯」のハードルを完璧に満たそうとするあまり、減点方式で自らを追い込み、「今の自分の年収では資格がない」と自発的撤退を強いられている独身者が膨大に存在します。