朝8時半。しまなみ海道を走るロードバイクのベルが心地よく鳴り響く。ペダルを漕ぎ疲れたサイクリストたちが急な坂道を登りきった先に、目的地はある。店内からは、遠く因島大橋と青い海を一望できる絶景が広がる。だが、来訪者の視線は窓の外以上に、ガラスケースの中に並ぶ出来立ての大福に注がれていた。
近年、インバウンド需要の爆発的な定着に伴い、アジア圏だけでなく欧米からの観光客も目立って増えた。「東京のデパ地下では買えない、ここでしか手に入らない体験」を求めて、人々はわざわざ足を運ぶ。旅の途中で味わう冷たさと甘み。それは単なるスイーツの摂取ではなく、旅のハイライトというべき記憶の刻印なのだ。